また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【ノンフィクション/猫】「もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた」-作家がいる、猫がいる、それだけの幸せ

 副題に「NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。」とある。これはEテレで放送された「ネコメンタリー」という番組の内容を一冊にまとめた本だ。角田光代、吉田修一、村山由佳、柚月裕子、保坂和志、そして、養老孟司。そうそうたるメンバーの作家たちと愛猫たちの物語。テレビでは、作家と猫の日常がちょっとクールな感じで描かれていて、僕は好きだった。

 

 本書ではその内容を活字化、猫たちの写真や作家たちの番組書き下ろし短編も収録されているが、映像と活字ではやはり手触りが違うので、まったく違うものとして楽しむことができる。とにもかくにも、猫たちの写真をじっくりと見られるのがうれしい。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (20194/3週)

 出た本。わっ、これはいの一番に伝えるべきなのに忘れてた。直木賞と本屋大賞をW受賞した恩田陸の傑作「蜜蜂と遠雷」が文庫になりました。上下2冊です。この小説がすごいのは、作者が「ピアノの演奏の活字化」にあらゆる手段を使って挑戦していること。それが功を奏してすごい音楽小説になっています。これはぜひぜひ読んで欲しいなぁ。僕の書評も読んでみてください。

 

  

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【書評】ピーター・スワンソン「そしてミランダを殺す」-この展開はすごい!でも一番心惹かれるのは主人公の造形だ

 昨年のミステリーでは「カササギ殺人事件」とこの小説がランキングの上位を占めていた。どちらかを読みたいと思っていたが、結局、手に取ったのはこちら。なぜなら批評の中にパトリシア・ハイスミスの名前がチラチラと出ていたから。特にミステリー好きではないけれど、彼女の小説は好き。この物語は少しハイスミスの味がする。

 

 3部構成だ。語りは一人称で第1部ではテッドという男とリリーという女が交互に語っている。あぁ、この2人の物語なんだ、とまずは思った。空港のバーで出会った2人は意気投合し、いつの間にかよからぬ相談までし始める。第2部、冒頭であわわわわわわっ、という事実が分かってドギマギする。もう一度、1部に戻っていろいろ確認。この2部、語り手はリリーとタイトルにもなっているミランダ。テッドはどうした?と思っているうちに、2部のラストでまたまた、あわわわわわっ、が起こって再度ドギマギする。思わぬ展開。

 

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【広告コンペ】文化放送ラジオCMコンテストの取材記事がアップされました。読んでみてください!

 さて、文化放送ラジオCMコンテストグランプリのあとはあまり報告することもない私でしたが、先日ちょっといいことがありました。またまたグランプリの件で取材を受け、さらに、若きコピーフレンドの皆さんからグランプリのお祝いまでしてもらったのです。あ〜うれしかった。取材記事はこちらのnoteから読むことができます。

 

 上下2回に分かれていますが、上はまさに文化放送ラジオCMコンテストグランプリのこと。私、文化は古いのよ。


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【文学賞】2019年本屋大賞が決まりました!!!

 今年の本屋大賞は瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された 」に決定しました。パチパチパチ!そうかぁ、こっちか。木皿泉の「さざなみのよる 」がイチオシだったのだけど。ううむ、これは未読。読もうと思ったのだけど結局読んでない。でも、瀬尾さんよかったです。Amazonの内容紹介文の引用しておきます。

 

森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。この著者にしか描けない優しい物語。 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作

 

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (20194/2週)

 出た本。松井玲奈「カモフラージュ」。書評家の大森望氏が「カモフラージュ」収録の「拭っても、拭っても」という小説を読んでこんなツイートを残している。

 

「拭っても、拭っても」を読んで、てっきり押切もえ路線で行くのかと思ってたのにぜんぜん違った。松井玲奈畏るべし。ぜんぜんまったく「アイドルの小説」ではありません。

 

 同じく「カモフラージュ」に入っている「ジャム」を読んだ感想。

 

遅ればせながら松井玲奈「ジャム」(小説すばる2月号)を読んだら、お父さんがいきなり4人に増えて帰宅する話で仰天。ラファティ「町かどの穴」かと思いました! すごいな、こんなの書くんだ。集英社の短篇が終わったらぜひ『NOVA』に書いてほしい! という原稿をいまさっきEXwebに書きました。

 

 「カモフラージュ」の帯には作家の島本理生と森見登美彦のコメントが。

 

油断していると、次々予想を裏切るメニューが出てくるような短編集。
――島本理生(作家)
明太子スパゲティをこのうえなくおいしそうに書ける人。信頼せざるを得ないのである。
――森見登美彦(作家) 

 

 というわけで、松井玲奈はあなどれない。これはもう読むしかないじゃないか!

 
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【BOOK NEWS】朝日新聞に2つの連載小説、朝井リョウ「スター」&桜庭一樹「小説 火の鳥 大地編」!

 注目の連載小説が朝日新聞で始まります。最新作の「死にがいを求めて生きているの」が好評の朝井リョウ、初めての新聞連載小説が始まります。タイトルは「スター」。今日4月5日の夕刊(週1回・原則金曜日掲載)からスタートです。下記リンクに詳細が書かれていますが、大学の映画サークルで出会った2人の青年が主人公。その後の生き方が描かれてるようです。ううむ、朝井リョウの小説は全部読んでいるので、これはぜひ読みたいぞ。

 

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