また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【絵本/感想】たにかわしゅんたろう ぶん Noritake え「へいわとせんそう」-もうこれは読むしかないっ!!

 表紙のシンプルさ。谷川さんの名前もひらがなになり、Noritakeさんの顔の絵だけがある。すべてのページがこの表紙と同様にシンプルで静謐で、しかも力強い。

 

 最初の見開き。左ページに「へいわのボク」、右ページに「せんそうのボク」、さて、どんな絵を思い浮かべる??

 

「へいわのワタシ」と「せんそうのワタシ」は?

 

「へいわのチチ」「せんそうのチチ」
「へいわのハハ」「せんそうのハハ」

「へいわのかぞく」「せんそうのかぞく」

 

「へいわのどうぐ」「せんそうのどうぐ」はどうだろう?

「へいわのぎょうれつ」「せんそうのぎょうれつ」は思い浮かぶだろうか?

 

「へいわのき」「せんそうのき」

「へいわのうみ」「せんそうのうみ」

 

「へいわのまち」「せんそうのまち」は?

シンプルで力強い表現が続く。

 

「へいわのよる」「せんそうのよる」はすごいぞ。

「へいわのくも」「せんそうのくも」はさらに強い。

 

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【コミック】第23回手塚治虫文化賞、マンガ大賞は有間しのぶさんの「その女、ジルバ」に決定しました

 ちょっと掲載が遅くなりましたが、手塚治虫文化賞、発表になりました。大賞は有間しのぶさんの「その女、ジルバ」。ううむ、これはまったく予想してなかったなぁ。完結した「海街diary」が取るのではないかと勝手に思っていました。

 

 朝日新聞の記事によると「今年はものすごく水準が高い」と選考委員が口を揃えたそうですが、「その女、ジルバ」は

 

「女性の日常をベースに、日本の戦後七十余年を総括する壮大な物語」(桜庭)と、多くの支持を集めた。

 

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【エッセイ/感想】村山由佳「猫がいなけりゃ息もできない」-愛猫もみじとの最後の日々、僕はこんな別れに耐えられるのかな?

 なぜか猫本ブーム。これは、作家の村山由佳さんと愛猫もみじの物語。う〜ん、なんだかやたらと泣けた。こんなに泣くとは思っていなかった。本には写真も収録されているが、もみじという猫は凛々しく美しくかわいい。とはいえ彼女、17歳の三毛猫、5匹いる村山家の猫の最長老だ。まぁ猫だって犬だって人間だって?かわいいものは幾つになってもかわいい。村山さんにとってもみじは、産まれた時に自分で取り上げ、それからズッと一緒。すでに離れがたい存在なのだ。

 

 さすが、と思うのはこういう愛猫エッセイを書いても、村山由佳は細部の描写がリアルで細やか。この細やかさと素直な感情表現がエッセイ全体を支えている。

 

 2017年の6月。もみじに癌が見つかる。口の中の扁平上皮癌。平均余命3ヵ月?これは愛する猫が亡くなるまでの物語でもある。旦那さん1号、2号、今の同居人である「背の君」とのこと、もみじとのこれまでのいろいろを交えながら話は進んでいく。3章の「見送る覚悟」、4章の「いつか、同じ場所へ」では、まさにもみじとの最後の日々が綴られていて、読んでいるこちらも村山さんや周囲の人々同様、胸苦しくなってくる。本当に辛いのだ。

 

 同時に村山さんのもみじへの愛、もみじの村山さんへの思いがしっかりと伝わってきて、たまらない。時々、擬人化されるもみじは関西弁でつぶやく。これがまた何だかピッタリでグッとくる。

 

皆さん、お見舞いたくさん、おおきに。

うちな、いま、ゆっくりゆっくり、船出のしたくしてまんの。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (20194/4週)

 出た本。野木亜紀子「獣になれない私たちシナリオブック」出ました。ドラマ、おもしろかったなぁ。けっこう気になるフレーズがあったからチェックしたいぞ。うむ。

 

 出る本。山極寿一、小川洋子「ゴリラの森、言葉の海」(4/25)出ます。内容はアマゾンの紹介から。

 

ゴリラを知ることはヒトが自ら何者かを知ること――物語の森に住む小説家と野生の眼を持つ霊長類学者。京大の研究室や屋久島の原生林の中での二人の対話から、ゴリラとヒトが紡ぐ物語が鮮やかに浮かび上がる。現代を生きるヒトの本性をめぐる、発見に満ちた知のフィールドワーク。

 

 小川さんは動物に対する造詣も深いからなぁ。これはかなりおもしろ対談になっているような気がします。期待!!!わっ、表紙がいい!!!

 

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【文学賞】第32回 三島由紀夫賞、山本周五郎賞のノミネート作品が発表されました

 さてさて、この時期恒例の三島賞、山本賞のノミネート作品の発表がありました。まずは三島由紀夫賞のノミネート5作です。

 

◯倉数茂「名もなき王国」

◯三国美代子「いかれころ」

 

 

◯岸政彦「図書室」

 

◯金子薫「壺中に天あり獣あり」

◯宮下遼「青痣」

 

 

 未刊行が3冊あります。ううむ、岸さん、金子薫さんは少しは分かるけれど。これはどれが選ばれるのかまったく予想がつきません。三島賞は「文学の前途を拓く新鋭の作品」と定義されています。

では、山本周五郎賞のノミネート5作です。

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【BOOK NEWS】ついに発売日決定!小野不由美の大傑作「十二国記」新刊、10月、11月2ヵ月連続刊行!!

 おぉぉぉぉ!小野不由美の最高傑作「十二国記」シリーズの新作長編、ついに発売日が決まりました。昨年末に400字×約2500枚という超大作の第一稿がアップしたというニュースはお知らせしましたが、ついに正式決定です。新潮社のFacebookでのお知らせをご覧ください。

 

 

 新潮文庫で10月12日に1、2巻、そして11月9日に3、4巻が発売になります。いやいやいや、いったい何年待ったんだ?ううううむ、今から興奮する。「十二国記」については前のお知らせの時に熱く語っちゃったので、まずはそちらをお読みください。

 

 

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【映像化】塩田武士「罪の声」映画化決定!野木亜紀子脚本、小栗旬×星野源主演。これは楽しみだぁ!

 第7回山田風太郎賞を受賞し、2016年の週刊文春ミステリーベスト10でも国内部門1位に輝いた塩田武士の「罪の声」の映画化が決定しました。おぉ、これはうれしいぞ。しかも、脚本が「逃げ恥」などの野木亜紀子!!野木さんはNHKの「フェイクニュース」でも切れ味鋭く今の時代を描いていたので、こういうテーマも得意なはず。とても楽しみです。

 

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