また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【映像化】「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」、始まりました!「この世界の片隅に」とは別物(らしい)!!

 さてさて、先週金曜日から「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」公開が始まりました。友人の中にはもう観に行った人もいるようですが、僕は難聴で日本語字幕版じゃないと難しいのですが、字幕版は来年になってからしか始まらないらしい。まぁ、しょうがない。年明けの楽しみに。上映時間は最後の最後まで編集して結局168分。「この世界の片隅に」より40分近く長くなっています。

 

 でも、ただの長尺版やディレクターズカット版とは違っていて、これはもう「別物」という感想が多いです。片渕監督は「新作」と言ってます。前作にも登場したリンさんとの関係がさらに深く描かれ、主人公のすずさんがさらにめんどくさい人物になったみたいですが、これはこうの史代さんの原作にさらに近づいたような気がしてなんだかうれしいです。ま、感想は観てから。いろいろリンクを貼ってみたので興味がある人は読んでみてください。

 

◯公式ホームページはこちら


 ◯前作との違いはこの片渕監督のインタビューが分かりやすいです

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【絵本】第12回MOE絵本屋さん大賞は竹下文子×町田尚子「なまえのないねこ」、絵本大賞で3冠獲得です!!

 第1位竹下文子・町田尚子「なまえのないねこ」

 

 第12回の「MOE絵本屋さん大賞 」、去年までヨシタケシンスケさんが4連覇していたのですが、今年は竹下文子さんが文章を書き、町田尚子さんが絵を描いた「なまえのないねこ 」が大賞に輝きました。パチパチパチ!「なまえのないねこ」、このブログでも紹介した「リブロ絵本大賞」、そして「未来屋えほん大賞」に続いて絵本大賞3冠です。僕も読んで感想を書いてるので読んでみてください。猫好きはもちろんのことそうではない人にもおすすめ!

 


 2位以下は次の通り。ヨシタケさん残念ながら2位でしたが2冊ランクインです。さすが!

 

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【書評】原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー 」-国立西洋美術館が誇る松方コレクションの数奇な運命を辿る物語


 これは上野にある国立西洋美術館のコレクションの基礎となっている松方コレクションとそれを集めた「こよなく絵画(タブロー)を愛した稀代のコレクター」松方幸次郎の物語だ。話の舞台になるのは2つの時代。1つは日本を代表する美術史家・田代雄一が第二次世界大戦後、フランス政府に接収され国内に留め置かれている松方のコレクションを取り戻すため、交渉人としてパリに赴いた1953年の話。もう1つは1921年から始まる回想の物語だ。

 

 回想の物語で語られるのは若き田代が「自分は美術はわからん」という松方に招かれ、パリで画廊巡りをし、絵画や彫刻、家具などを買い集める手助けをする話だ。川崎造船所の初代社長であった経済人の松方が第一次世界大戦中のロンドンで美術関係者の熱い思いに突き動かされる形で日本初の西洋絵画のための美術館作りを決意。コレクターになっていくプロセスはモネ本人との出会いやゴッホの「アルルの寝室」との邂逅などスケールが大きく痛快でなんともおもしろい。

 

 しかし、この回想部分はそれだけでは終わらない。当時パリで松方の助手だった日置との1953年の再会、日置の数奇な運命と共に語られる松方コレクションのその後。ロダン美術館に保管されていたコレクションを守るため、第二次世界大戦中、ドイツ占領下のフランスで日置が絵画を隠し、守り抜いた話はスリリングで読み応えがある。

 

 さて、松方コレクションは無事奪回できたのか?フランスから出されたリストにはハイライトともいえる21点が含まれていなかったのだが…。結末はぜひ読んでもらいたいが、ここには松方幸次郎という男の生涯と彼が情熱を傾けた松方コレクションの運命が仔細に描かれていて読む者を飽きさせない。原田マハのアート小説はやっぱりいいなぁ。第161回直木賞候補作品。
DATA◆原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー 」(文藝春秋)1,650円(税別)

 

 ◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピーです)

 

国立西洋美術館が誇る松方コレクションの誕生秘話

名画を愛した男がいた。

それを守り抜いた男がいた。

 

2019.12.18  いろいろ終わってホッと一息。あとは大掃除などなど!読書は朝井リョウの「どうしても生きてる」。

 

 

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【文学賞】第162回芥川賞・直木賞(令和元年下半期)候補作、発表!ううむ、あんまりよく分からない

 今年下半期の芥川賞、直木賞候補作が発表になりました。芥川賞、ううむ、名前は聞いたことあるけれどちょっと分からない人ばかり。高尾さん、古川さんは芥川賞候補になっていますね。

 

【芥川賞候補】

 ◯木村友祐「幼な子の聖戦」(すばる11月号)1/24発売

◯髙尾長良「音に聞く」(文學界9月号)

◯千葉雅也 「デッドライン」(新潮 9月号)

◯乗代雄介「最高の任務」(群像12月号)1/13日発売

◯古川真人「背高泡立草」(すばる10月号)1/24日発売

 

 発売されているのは哲学者の千葉さんの「デッドライン」のみで他は来月以降の発売になるようです。さて、受賞作は?

 

 直木賞、前回は6作全員が女性ということで話題になりましたが、今回は湊かなえさんを除いた4人が初ノミネート。誉田哲也はベストセラー作家ですが、初めてなんですね。

 

【直木賞候補】

 ◯小川哲「噓と正典」 

 

◯川越宗一 「熱源」

 

◯呉勝浩「スワン」

 

◯誉田哲也「背中の蜘蛛」

 

◯湊かなえ 「落日」 

 

 う〜ん、こちらも読んだことがある人が少なくて全然分からない。湊さんは4度目の候補。そろそろなのかな、という気もしますが。選考会は1月15日。まぁ、結果を楽しみに待ちたいです。

 

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【コミック/感想】大島弓子「キャットニップ3」-猫コミックならやっぱりコレ。猫まみれの日々がうらやましい!

大島弓子「キャットニップ3」


 大島弓子の猫エッセイコミック「キャットニップ」の新刊が出た。前シリーズの「グーグーだって猫である」は、2000年から2011年まで続いてその間に全6巻出たのだけど、主人公猫グーグーの死で終わってしまった。続編としてこの「キャットニップ」がスタートしたのが2014年。これはうれしかったなぁ。

 

 「キャットニップ」は、2巻が2017年、そして先月この3巻が発売ということになるのだけど、内容的には全然変わってない。大島さんと飼い猫&外猫たちとの喧騒の日々だ。仕事する暇?があるのかな、と思うぐらいの猫まみれの毎日。うらやましい!飼い猫は1巻の時には12匹もいたのだけど現在では6匹。「でも少しもラクにならないのはなぜに?」と大島さんは嘆いている。まぁ、その答えは読めば分かるわけです。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!またまたヨシタケシンスケの新刊、イタリアの小説、文學界1月号も!(2019.12/2週)

 ドメニコ・スタルノーネ「靴ひも」

 

  さて、出た本。新潮社のクレスト・ブックスからドメニコ・スタルノーネ「靴ひも」出ました。これはですねぇ、このブログでも紹介しているジュンパ・ラヒリが惚れ込んで英訳し、アメリカで「ニューヨーク・タイムズ」の「2017年注目の本」に選ばれるなど高い評価を受けたイタリア小説です。内容はアマゾンの紹介から

 

老夫婦が夏のヴァカンスから自宅に戻ると、留守宅が何者かに荒らされていた。家具は倒され、あらゆるものが散乱し、猫が姿を消している。困惑する夫が目にしたのは、40年前、夫が家を出たことをなじる妻からの手紙の束。決して癒えることのなかった過去の傷跡が、次第に浮き彫りにされてゆく。家族はどこへ向かうのか―

 

 ううむ、ちょっとこれは気になるなぁ。ジュンパ・ラヒリは信頼できる小説家だし。読んでみたいぞ。

 

 出た雑誌。「文學界」の1月号、今村夏子の新作も気になるけど、又吉直樹と宇多田ヒカルはどんな話をしたのだろう?読みたい!!

 

 「文學界」2019年1月号

 

 さて、出る本。ヨシタケシンスケ 「ものは言いよう」(12/11)出ます。アマゾンの紹介文はこちら!

 

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【BOOK NEWS】明日夜10時からのNHK Eテレ「SWITCHインタビュー達人達」は「ヨシタケシンスケ×梅佳代」!

 ううううむ、これはこれは!どっちもファンなんでとてもうれしいぞ。絵本作家のヨシタケシンスケさんと写真家の梅佳代さんが語り合う1時間。どちらも既成のジャンルに新風を吹き込んだ改革者同士。どんな話が聞けるのかとても楽しみです。番組ホームページはこちら!

 

 

 

 ヨシタケさん、新刊が立て続けに発売になってますが、12月にあと1冊出る予定。来週紹介します。梅佳代さんは「白い犬」がやたらと好き。

 

◯今年はこれがよかったぞ!

◯「白い犬」、まだ見てない人はぜひぜひ!

 

 

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