前作「展望塔のラプンツェル」がよかったので手に取った。タイトルから謎…。天保11年(1840年)、九十九里浜沖で暴風雨にあった気仙沼の五百石船の漂流譚から物語は始まる。船は流され続け、ある島にたどり着く。そこがボニン・アイランド!途中からこの船に乗り込んだ吉之助という若者が主人公になる。
あ、時代ものなんだ、と驚きながら第1章の続きを読むと、舞台は現代に。祖父母に育てられた田中恒一郎は彼らが住んでいた三島市に越してくる。街の小物商で祖父が大事にしていた置物を見つけ、それがオガサワラグワと呼ばれる小笠原の固有種の桑でできていることを知る。さらに、現代の別の話。音楽一家に生まれた賢人という中学生はチェロを習っていたが同乗していた車の事故で同級生の女の子を亡くし、チェロの音だけが聞こえなくなってしまう。別居しているカメラマンの父・雅人が彼を誘い向かったのは小笠原だった。
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