また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【書評】宇佐美まこと「ボニン浄土」-物語は江戸時代、ある島に流れ着いた一艘の船から始まる。そして、話は現代へ!

 

 前作「展望塔のラプンツェル」がよかったので手に取った。タイトルから謎…。天保11年(1840年)、九十九里浜沖で暴風雨にあった気仙沼の五百石船の漂流譚から物語は始まる。船は流され続け、ある島にたどり着く。そこがボニン・アイランド!途中からこの船に乗り込んだ吉之助という若者が主人公になる。

 

 あ、時代ものなんだ、と驚きながら第1章の続きを読むと、舞台は現代に。祖父母に育てられた田中恒一郎は彼らが住んでいた三島市に越してくる。街の小物商で祖父が大事にしていた置物を見つけ、それがオガサワラグワと呼ばれる小笠原の固有種の桑でできていることを知る。さらに、現代の別の話。音楽一家に生まれた賢人という中学生はチェロを習っていたが同乗していた車の事故で同級生の女の子を亡くし、チェロの音だけが聞こえなくなってしまう。別居しているカメラマンの父・雅人が彼を誘い向かったのは小笠原だった。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!雑誌「MOE」最新号はヨシタケシンスケ特集!吉田修一と小川洋子の文庫化も気になる!(2020.8/2週)

  NHKの「あさイチ」にヨシタケシンスケさん、出たのですね。見逃したぁ。このブログでもショーン・タンの「エリック」の感想ページにアクセスがたくさんあって、何だろう?と思ってたら、番組でヨシタケさんがおすすめとして紹介してたのでした。「エリック」、いいですよ。こちら!

 番組で紹介された他のおすすめ本はこちらを見てみてください。

 

 

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【ドラマ】さて、夏ドラマはいったいどうなってるのか?のか?のか?よく分からん!

 本来はこれ、6月の終わりに書いてるのですが、春が夏になだれ込み、夏がなんだかヨレヨレの感があるドラマ世界。ま、とりあえず、記録になるので書いておきます。あ、その前に「レンタルなんもしない人」8話で中断になってるのですが、続きはちゃんとやってくださいよ。お願いします!いや、ほんと。

 

 で、遅れて始まった春ドラマですが、6月スタートの「BG〜身辺警護人〜」はなんと全7回で昨日終了。キムタクは後がいっぱいなのかな?おもしろかったのでちょっと残念。視聴率は良かったけど、内容的にはイマイチだった「ハケンの品格」は次回8回で終了。「MIU404」はぜひ10回までやって欲しいぞ。

 

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【エッセイ/感想】村上春樹「村上T-僕の愛したTシャツたち」-写真とコラム&トークで語る好きなTシャツ、気になるTシャツ、着ないTシャツ!

 

 雑誌「POPEYE」で連載されていたエッセイをまとめたもの。まずはこういう四角っぽい判型が好きだし、カラーでたくさんのTシャツ写真が入っているのがうれしい。

 

 村上さんが自分のTシャツコレクションを紹介しているのだが、特にレアなものを集めているわけではない。なんだか気になって買っちゃったものやいろいろな事情でもらったTシャツの中で、特におもしろいもの、気に入っているものが18のコラムと共に紹介されている。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!芥川賞受賞作「首里の馬」、角田光代の読書案内「物語の海を泳いで」、柴崎友香「百年と一日」も気になる!(2020.7/5週)

  出る本、芥川賞を受賞した高山羽根子「首里の馬」(7/27)出ます。出ます、と書きましたが連休前に大きな書店ではもう並んでいたようです。この小説に関しては受賞の時に触れましたが、主人公の仕事が「オンライン通話でクイズを出題するオペレーター」というのがなんだかすごく気になってます。高山さんの受賞後のインタビュー、読んでみてください。

 

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【書評】池澤夏樹「花を運ぶ妹」-バリ島での兄の危機にパリで生きてきた妹が急ぎ駆けつけた、そこで彼女が出会ったものは?

 

 池澤夏樹といえば最近は労作である個人編集の「世界文学全集」「日本文学全集」がすぐに思い浮かぶが、小説家としての彼も忘れてはならない。8月1日から朝日新聞の連載小説「また会う日まで」もスタートする。このブログでは紹介する機会がなかったけれど個人的には芥川賞受賞の「スティル・ライフ」、谷崎潤一郎賞受賞「マシアス・ギリの失脚」、「エデンを遠く離れて」など、彼の小説には好きなものが多い。

 

 さて、毎日出版文化賞を受賞している「花を運ぶ妹」。人気上昇中のイラストレーター西島哲郎がバリ島で麻薬所持で捕まり死刑になりかける。そこに駆けつけるのがパリで働いていた妹のカヲルだ。厳しい状況が続く中、妹があることを手中にしたことで兄への救済への道が開ける。あること、を言ってしまうとおもしろくなくなってしまうので、ここでは書かないが、それは東洋的なものと西洋的なものとのせめぎあいの中から生まれてきたものなのだ。

 

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【ノンフィクション/賞】第3回Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞ノミネート6冊が決定!ううむ、これは激戦の予感!

 

 

 なんだかすごいセレクトですね。去年はブレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が受賞。今年連覇なるか、というのも興味がありますが、このノミネートだと分からないなぁ。

 

 といっても、読んだのはブレイディみかこさんの本だけなのですが、それぞれ話題になっていて興味津々のノンフィクションばかりです。

 

 左々涼子さんの「エンド・オブ・ライフ」は著者がずっと向き合ってきた終末医療の話です。「命の閉じ方をレッスンする」という惹句がなんだかいいです。梯久美子さんの「サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する」、サガレンって樺太/サハリンの旧名なんですね。宮沢賢治など作家たちが訪れた境界の島を描いた紀行ルポ。石井妙子さんの「女帝 小池百合子」は説明する必要もないですよね。これはすでにベストセラー!

 

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