また、本の話をしてる

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【コミック/感想】ニック・ドルナソ「サブリナ」-グラフィックノベル初のブッカー賞ノミネート!1人の女性の失踪からすべては始まる。スゴイぞ、ニック・ドルナソ!

【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!川上弘美、「伊勢物語」をモチーフにした長編「三度目の恋」、糸井重里の新刊も気になる!(2020.9/4週)

 

 さて、出る本、川上弘美「三度目の恋」(9/23)出ます。長編としては2019年に出た「某」に続く小説。「婦人公論」に2年に渡って連載されたものです。アマゾンからそのあらすじを!

すべての女を虜にする魅力的な男、ナーちゃんと結婚したわたし。女性の影が消えない夫との暮らしの一方、わたしは夢のなかで別の女として生きることになる。あるときは江戸吉原の遊女、さらには遙か昔、平安の代の女房として、さまざまな愛を知り……。夢とうつつ、むかしと今のあわいをたゆたい、恋愛の深淵をのぞく傑作長編。

  ここには書いてありませんがこの小説、平安時代に書かれた「伊勢物語」がモチーフになっていて、在原業平らしき人物も登場するようです。「夢とうつつ、むかしと今のあわいをたゆたい」というところが大きなポイントかも。1冊ごとに進化しているように感じる川上弘美ワールド、この新作も楽しみです。

 

 あっ、そうだ!在原業平といえば高樹のぶ子さんが書いた「小説伊勢物語 業平」がヒットしています。日本で初めて業平の生涯を小説化した1冊。平安&業平、これからちょっと目が離せないかも。

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【文学賞】第33回三島由紀夫賞、山本周五郎賞。三島賞は宇佐見りんさん「かか」、山本賞は早見和真さん「ザ・ロイヤルファミリー」に決定!

 

 春にノミネート作が発表になりましたが、コロナ禍で受賞作の発表が延びた三島由紀夫賞と山本周五郎賞、昨日やっと決定しました。三島賞は宇佐見りんさんの「かか」が受賞!宇佐美さんが20歳で文藝賞を受賞したデビュー作です。三島賞では最年少受賞!パチパチパチ!アマゾンの内容紹介を。

うーちゃん、19歳。
母(かか)も自分も、もう抱えきれん。

選考委員・町田康、村田沙耶香、震撼。
痛みと切なさを描く20歳の才器、第56回文藝賞受賞作。

19歳の浪人生うーちゃんは、大好きな母親=かかのことで切実に悩んでいる。かかは離婚を機に徐々に心を病み、酒を飲んでは暴れることを繰り返すようになった。鍵をかけたちいさなSNSの空間だけが、うーちゃんの心をなぐさめる。
脆い母、身勝手な父、女性に生まれたこと、血縁で繋がる家族という単位……自分を縛るすべてが恨めしく、縛られる自分が何より歯がゆいうーちゃん。彼女はある無謀な祈りを抱え、熊野へと旅立つ――。
未開の感性が生み出す、勢いと魅力溢れる語り。
痛切な愛と自立を描き切った、20歳のデビュー小説。

人間の気分、気持ちが恐ろしいほど正確に文章化されている。そしてそれが何度も人間存在そのものに迫って胸を衝かれる。
――町田康

この作者は、書くことの呪いにかかっている。それは、信頼できる、「作家」としての呪いだ。
――村田沙耶香

 町田康さん、村田沙耶香さん、褒めてますねぇ。これはちょっと読みたいぞ。宇佐見さん、今は「推し、燃ゆ」も話題になっています。選考委員は、川上未映子、高橋源一郎、多和田葉子、中村文則、松家仁之さんでした。

 

◯「推し、燃ゆ」にも注目!

 

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【エッセイ/書評】ヨシタケシンスケ「欲が出ました」-「おもわず考えちゃう」に続くエッセイ第二弾!エッセイもやっぱりヨシタケさん!


 絵本じゃないヨシタケさん、「思わず考えちゃう」に続く第2弾のエッセイ集だ。前作が思いの外好評で、出版社の皆さんに欲が出ちゃって第2弾発売となったらしい。それがそのままタイトルになっているだけで、構成的には前作とそれほど変わらない。ヨシタケさんがノートに描きとめていたイラストとちょっとした気づきのメモについて「これはこういうことなんです」と編集者に説明したものをまとめたものだ。「欲」の話も最初の方にちょっとは出てくるけど、話題は多岐に渡っている。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!池井戸潤、半沢直樹シリーズ最新作出ます。窪美澄と金原ひとみの新作にも注目!(2020.9/3週)

 

 さて、ドラマも絶好調の半沢直樹ですが、池井戸潤による6年ぶりのシリーズ最新刊が出ます。「半沢直樹 アルルカンと道化師」(9/17)、時系列的にはシリーズ1作目「オレたちバブル入行組」の前の話。半沢直樹が東京中央銀行大阪西支店に就任してすぐに起こった物語のようです。では、アマゾンからそのあらすじを!

東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とは――。

半沢直樹が絵画に秘められた謎を解く――。江戸川乱歩賞作家・池井戸潤の真骨頂ミステリー!
「やられたら、倍返しだ」。
明かされる真実に胸が熱くなる、シリーズの原点。
大ヒットドラマ「半沢直樹」シリーズ待望の最新刊、ついに登場!

 ふむふむふむ、絵画がテーマになるのは個人的にはうれしいなぁ。で、アルルカンと道化師、って同じような感じもするけれど…。このタイトルが意味するところは?これもそのうちドラマになるのかなぁ。

 

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【賞いろいろ】第7回料理レシピ本大賞、料理部門大賞は「リュウジ式 悪魔のレシピ」、お菓子部門は「魔法のてぬきおやつ」に決定!!

 

 ふむ、リュウジさん、ツイッターのフォロワーが100万人もいるのか?レシピ本大賞では5回、6回と連続入賞していましたがついに大賞受賞です。「リュウジ式 悪魔のレシピ」、パチパチパチ!すでに知ってる方も多いでしょうがアマゾンの内容紹介の一部を引用してみます。

悪魔のレシピ」ってどんなレシピ?

悪魔的においしいのにとんでもなく実用的!
を目指しました。

1.ひと口で「人間をダメにするくらい」おいしいのに
→つまり、存在が悪魔
2「.最短で、最高の味」が作れることを考え抜きました
→工程をどれだけ省けるか、特別な調味料を使わずにおいしく作れるか。
3.しかも、掲載レシピの半数は「低糖質」なんです!
→つまり、「天使のレシピ」が116品中58品。悪魔のレシピはデブメシだけじゃない。

たとえば

・エビの下処理いらずであの甘辛味が食べられる! 「エビシューマイ・チリ」
・「大葉の浅漬け」大葉を白だしに漬けるだけで最強のごはんの友が完成!
・食材ぜんぶレンジでチンするだけで最高級レストランの味に「半熟カマンベールカルボナーラ」
・「キャベツのステーキ」焼くだけでキャベツがごちそうになる!
・この見た目とボリュームで太らないおかず!? 「マーボーバーグ」
・「ブロッコリー&エリンギの唐揚げ」野菜は唐揚げにするがおいしくて食べ応えあります!

全116品です。

 ううむ、なるほど。これは売れるわ。今年は準大賞が復活して藤井惠さんの「藤井弁当」が受賞!これは、聞いたことがあるぞ。お弁当作りには欠かせない1冊かも。

 

 

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【書評】宮部みゆき「きたきた捕物帖」-これ1冊がプロローグ!宮部みゆきの「捕物帖」がついに始まった!!

 

 帯に「私がずっと書きたかった捕物帖です」と作者の言葉がある。もちろん宮部みゆきは捕り物もの?もいろいろと書いているが、「捕物帖」と名乗ったのはこれが初めて。「半七捕物帳」を書いた岡本綺堂をリスペクトしているので、このタイトルにはかなりの思い入れがあるような気がする。「新シリーズ始動」とも書いてあるけれど、最初のこの1巻は丸々1冊プロローグという感じがする。最後まで読んで「さぁ、始まり始まり!」という気分になるのだ。

 

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