また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【書評】コロナ・ブックス「フジモトマサルの仕事」-マンガからイラスト、なぞなぞ、エッセイまで彼の仕事を一冊に!

 

  平凡社のコロナ・ブックスの一冊。2015年に46歳で亡くなられたフジモトマサルさんの仕事をまとめたもの。大仰ではなくシンプルにまとめられていてなんだかとてもいい。手元に置いて時々ながめてフジモトさんのことを思い出したい。そんな一冊だ。

 

 僕がフジモトさんのことを知ったのはちょっと遅くて「ほぼ日」のなぞなぞのコンテンツのような気がする。このなぞなぞはなかなかおもしろかったし、一緒に描かれたイラストがとても印象に残った。その後が村上春樹の本のイラストだろうか?さらに「ちくま」の表紙。メインの仕事であるマンガを読んだのは遅まきながら2016年に出た「二週間の休暇」の新装版だった。この本には彼のマンガの仕事、なぞなぞと回文、イラストを使ったポスターやカレンダーなど他の様々な仕事、装丁と装画、エッセイなどが過不足なく収められている。

 

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【コミック】矢部太郎、「小説新潮」連載の新作漫画「ぼくのお父さん」第1回、「Book Bang」で読めます!

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©︎新潮社


 「大家さんと僕」シリーズで漫画家としても大人気になった矢部太郎。「小説新潮」で新作の連載が始まりました。タイトルは「ぼくのお父さん」。本の総合サイトである「Book Bang」でもこの連載が見られるようになりました。うれしい!!矢部さんのお父さんは絵本作家のやべみつのりさん。同じく「Book Bang」のインタビューで矢部さんはお父さんについてこんなことを言ってます。

――矢部さんから見たお父さんはどんな方ですか?

「変わった人」でしょうか。子どもの頃から、うちのお父さんはよそのお父さんとはちょっと違ってて「変わってる」と思っていました。大人になって改めて、人としても「変わってる」と思います。でも僕にはお父さんが「変わってる」のか、それ以外の世界が「変わってる」のかわからないところがあります。あと普通ってなんなのかとか。そんな気持ちを描きたいなと思っています。

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【コミック】第24回手塚治虫文化賞、マンガ大賞は高浜寛さん「ニュクスの角灯」に決定!田島列島、和山やま、長谷川町子さんも受賞!

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 24回を迎えた手塚治虫文化賞、今年のマンガ大賞は高浜寛さんの「ニュクスの角灯(ランタン)」に決まりました!パチパチパチ!!この作品、2016年に第1巻が出て去年の8月に完結した全6巻のコミックです。西南戦争で両親を亡くした主人公の少女が長崎の道具屋の売り子になってベルエポックのパリで成長していく明治アンティーク浪漫。第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門「優秀賞」も受賞しています。選考委員のマンガ研究家ヤマダトモコさんは「作者の新境地。完結の今こそ賞を」、同じく選考委員の女優杏さんは「史実を絡めつつ未来へ向かわせる物語」と評しています。高浜さん、デビュー以来、欧米で高い評価を受けていて既刊の多くがフランス語に翻訳されているそうです。すごい!

 

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【コミック/感想】田島列島「水は海に向かって流れる」-マグマは10年前のW不倫、互いの子どもたちが出会って…

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 このコミック、雑誌「フリースタイル」の特集「THE BEST MANGA 2020 このマンガを読め!」で2位になっていて、紹介文を読んでいるうちにすごく読みたくなった。2巻まで出ているがまだ完結はしていない。年末の「このマンガがすごい!」でも5位にランクインされていた。田島列島は知らなかったが2014年に出た連載デビュー作「子供はわかったあげない」が高い評価を受けていて、この作品は映画になるらしい。短編集も出ている。ううむ、絵がいいんだなぁ。どんな名作でもタッチが嫌いだと共感できないが、彼の絵はとても繊細で素晴らしい!!

 

 さて、物語。高校進学を機におじさんちに居候することになった主人公の直達。その家には親に内緒で漫画家になっていたおじさん(ニゲミチ先生)だけではなく、25歳のOL榊さん、榊さんの知り合いの大学教授成瀬さん、女装の占い師泉谷さんが住んでいた。一つ屋根の下の同居生活が始まるのだが、ふとしたことから榊さんは直達が10年前母がW不倫した男の息子であることを知ってしまう。それがこの物語の大きなマグマだ。直達は父の不倫の事実さえ知らない。榊さんは直達がそれを知ること、自分が不倫相手の娘だと知ることを望んでいない。しかし、直達は偶然にもその事実を知ってしまうのだ。

 

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【コミック/感想】大島弓子「キャットニップ3」-猫コミックならやっぱりコレ。猫まみれの日々がうらやましい!

大島弓子「キャットニップ3」


 大島弓子の猫エッセイコミック「キャットニップ」の新刊が出た。前シリーズの「グーグーだって猫である」は、2000年から2011年まで続いてその間に全6巻出たのだけど、主人公猫グーグーの死で終わってしまった。続編としてこの「キャットニップ」がスタートしたのが2014年。これはうれしかったなぁ。

 

 「キャットニップ」は、2巻が2017年、そして先月この3巻が発売ということになるのだけど、内容的には全然変わってない。大島さんと飼い猫&外猫たちとの喧騒の日々だ。仕事する暇?があるのかな、と思うぐらいの猫まみれの毎日。うらやましい!飼い猫は1巻の時には12匹もいたのだけど現在では6匹。「でも少しもラクにならないのはなぜに?」と大島さんは嘆いている。まぁ、その答えは読めば分かるわけです。

 

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【コミック】「きのう何食べた?」展、GALLERY X BY PARCOで開催決定!6月13日〜7月7日まで

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 ドラマも好調な「きのう何食べた?」、6月13日から東京・渋谷のGALLERY X BY PARCOで展覧会が開催されることが決まりました。僕はよしながふみの原作も読んでいますが、ドラマは主演の2人がイメージ通りでいい感じ!1本が通常より短いのですが、料理のシーンも含めてムダなくまとめられていて毎回楽しみにしています。さて、イベントではどんなものが観られるのか?PARCO ARTのサイトから引用してみました。

 

本展覧会では、原作やドラマが丁寧に表現している“あたたかくて優しく、時にはほろ苦い人生の機微”を、ドラマの舞台セットの再現や、ドラマで使用された小道具、数々の名シーンの場面写真とともに、原作コミックの複製原画も展示。さらに、会場には展覧会ならではの限定オリジナルグッズも販売。

 

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【コミック】第23回手塚治虫文化賞、マンガ大賞は有間しのぶさんの「その女、ジルバ」に決定しました

 ちょっと掲載が遅くなりましたが、手塚治虫文化賞、発表になりました。大賞は有間しのぶさんの「その女、ジルバ」。ううむ、これはまったく予想してなかったなぁ。完結した「海街diary」が取るのではないかと勝手に思っていました。

 

 朝日新聞の記事によると「今年はものすごく水準が高い」と選考委員が口を揃えたそうですが、「その女、ジルバ」は

 

「女性の日常をベースに、日本の戦後七十余年を総括する壮大な物語」(桜庭)と、多くの支持を集めた。

 

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