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【絵本】しりあがり寿「ねつでやすんでいるキミへ」-母の思い、親の思いが凝縮された一冊

 「真夜中の弥次さん喜多さん」などでおなじみの漫画家しりあがり寿。朝日夕刊の「地球防衛家のヒトビト」は10年以上も連載が続いている。僕、この人の漫画好きですよ。

 

 さて、この「ねつでやすんでいるキミへ」は珍しい(たぶん)絵本作品。ヘタウマ漫画を書いていた頃に手塚治虫から「この人は実はものすごく絵がうまい人だ」と評されたというしりあがりさんだが、この絵本を見れば、それがよくわかる。水彩で描かれたその絵はササーッと描かれたように見えるが、本当にうまい。絵を見るだけでも、多くのことが伝わってくる。

 

 さて、この絵本、タイトルの通り、熱を出して寝込んでいる子供の姿を見ながらの、お母さんのつぶやきだ。病気の子供をただただ見守るしかない親の気持ちをこの絵本は見事に描き出している。我が子の顔を見ながらお母さんは思うのだ。「ごめんね あまり そばに いられなくて」「コドモも つらいけど オトナも たいへん」。そして、子供の将来にまで思いを馳せいろいろと「理想の人生」を夢想するのだが、今一度子供の寝顔を見て我に返るのだ。そんなことはどうでもいいこと、なのだと。今、そこにいるきみが一番大切で、早く元気になることだけが自分の願いだと。

 

 「ねつでやすんでいるキミへ」には、「母の思い」「親の思い」が凝縮されている。しりあがり寿が違う一面を見せてくれた魅力あふれる一冊だ。

 

◯「ねつでやすんでいるキミへ」原画展が開催されています。

 29日土曜日まで。くわしくはこちらで。

 

          

 2013.6.25 コンフェデ、3連敗。なんだかなぁ。読書は中断していた小林信彦「本音を申せば 映画の話が多くなって」に戻る。

 

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