先日紹介した「ぼく」と同じ谷川俊太郎さんが命名した死をめぐる絵本シリーズ「闇は光の母」の中の1冊。シリーズ2冊目だ。
毎年、夏休みに主人公の「ぼく」がやって来るのはおばあちゃんチの近くにある雑木林。たくさんの生き物の気配がするその林が彼のお気に入りの場所だ。そして、そこには大きくて立派なクヌギの木がある。
「これが ぼくの ともだち。」「じゅえきの においが はなをつく。」
この木にはスズメバチ、ノコギリクワガタ、ルリタテハなどなど、いろいろな虫たちが集まって来る。この雑木林、そして虫たちを描く城芽ハヤトの絵がなんともスゴイ!プリミティブな感じもするとにかく迫力いっぱいの絵。うう〜ん、この絵はこの物語にぴったりすぎる。「ぼく」はさらに真夜中の雑木林も訪れる。ここに登場するカブトムシもまたまたスゴイ。でもでも彼らは…。
後半の展開に息を飲む。あの立派なクヌギの木がしだいに元気をなくし、小さくなり、地面と変わらないようになってしまう。この「死」へのプロセスを描く絵がまたまたスゴイ。いやぁ、参ったなぁ。
「かれてしまうのかな。しんじゃうのかな。」「だめだよ。これからも まいとし あいにくるから。」
そして、命が繋がっていくラストへ。死をめぐる絵本シリーズでこれはまさに企画勝ちの1冊。スゴイ!
◆DATA 今森光彦/城芽ハヤト「クヌギがいる」(岩崎書店)1700円(税別)