このタイトルの元はラテン語の「メメント・モリ」=「死を想え」=「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」。僕らの世代は写真家・藤原新也の同名のエッセイで知った人が多いと思うが若い人はどうなのだろう?この絵本では主人公がメメンとモリの姉弟という設定、なるほど、なるほど。ヨシタケさんの絵本は哲学的だと最近書いたけど、
これは「人は何のために生きてるの?」がテーマのちょっぴりマジな絵本だ。
とはいえ、あのヨシタケさんの語り口は少しも変わることはない。もちろん、変に上から目線でもなく3つの話を通してテーマが語られていく。3つの話というのは「メメンとモリとちいさいおさら」「メメンとモリときたないゆきだるま」、そして、「メメンとモリとつまんないえいが」。それぞれ深く、ゆるく、おもしろい。 1話目は生き方のいろいろな選択肢を示しながらも「なんだか わかったようなわかんないような かんじだけど」とモリに言わせてるのがいい。2話は雪が少なくて汚い雪だるましかできなかった話。人それぞれの「汚ない雪だるま」があるのではないか。3話目はなるほどそう考えたらいいよね、というような話。
まぁ3話ともモヤモヤと生きる意味を思ってしまう人が読むと少し楽になるようなストーリーだ。さすがヨシタケシンスケ!でも、フツーのおもしろいやつも忘れずにね!
◆DATA ヨシタケシンスケ 「メメンとモリ」(KADOKAWA)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)
思ってたのとちがうから、
世界はつらいし、きびしいし、
たのしいし、うつくしい。
◯ヨシタケシンスケ 、その他の絵本の感想などはこちら!
2023.7. 12 いや、暑い。37度なんてイかれてる。何とかして!!読書は坂本龍一「音楽は自由にする」。