また、本の話をしてる

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【絵本/感想】坂本千明「退屈をあげる」ー冬の冷たい雨の日、お腹をすかせ風邪をひいたノラ猫は「2つの手」と出会った

 

  坂本さんの「ぼくはいしころ」がとてもよかったので他の絵本も読んでみたいと思い手に取った。「ぼくはいしころ」は2020年に出ているが、これは2017年。それ以前、2013年に私家版で出版されている。いずれにしてもこれは「ぼくはいしころ」へとつながっていく物語。その原点と言ってもいい話だ。

 

 ひどくお腹が減って風邪もこじらせ、暗い場所でじっとうずくまっているしかなかった冬の冷たい雨の日、猫は「2つの手」と出会う。鼻のぶち模様やだみ声、1本だけ折れた歯などなど猫の特徴を説明しているページが何いい。

ごはんたべて
ねて
うんちして

くり返し

そこでの毎日はとても退屈だったけれど
こわい外の世界に戻るのはもうまっぴらだった

 

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【絵本/展覧会】立川のPLAY!MUSIUMで「みみをすますように 酒井駒子展」。しっかりみみをすませて来ました!

 

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*注意! 酒井駒子展は明日4月26日から緊急事態宣言(現状5月11日までの予定)が解除されるまで休館となりました。(4.25追記)

*「みみをすますように 酒井駒子展」は6月1日から再開されました。とはいえ、まだまだコロナ禍。感染には十分気をつけてお出かけください。

 

 昨日は立川のGREEN SPRINGSにある「PLAY!MUSIUM」へ。開催中の「みみをすますように 酒井駒子展」に行って来ました。コロナ、さらに増えそうだし7月4日までだけどどうなるか分からない。どうしても行きたかったので見ることができて本当によかったです。

 酒井駒子さんは絵のタッチとか描かれる世界がとにかく好き!原画を見るチャンスはそれほど多くないので開催前から楽しみにしていました。「PLAY!MUSIUM」、初めてでしたが、ここいいなぁ。それほど広いスペースではないけれどゆとりのある展示で見やすい。祖父江慎さんがアートディレクションした空間はなんとも居心地がよく、酒井さんの絵を見る環境としては最高です。

 「ある日」「ひみつ」「こみち」など6つのエリアに分かれた会場を散策するように歩き、立ち止まり、みみをすますように描かれた子供たちや動物たちの声を聞くことができます。酒井さんの絵はまず黒い絵の具で下塗りをし、そこに新たに描いていくのですがこの黒バックの奥深さは原画じゃなければ分からない。カスレなどタッチの美しさもしっかりと分かります。そして、何より酒井駒子という作家が生み出す世界、その静謐さと奥深さを感じることができる喜びがここにはありました。あぁ、なんだかまた行きたくなって来たぞ。会期末に誰かと行こうかな?

◯なんかいい感じの展示!

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◯前半部分は写真も撮れます

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◯ピンズ買っちゃった。図録は高いので何とか思いとどまる。

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◯図録はこれ!なかなかいいのよねぇ、ううむ。

 

◯展覧会のHPはこちら!

◯酒井駒子さんの絵本の感想などはこちらから

 

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【絵本/感想】ヨシタケシンスケ 「にげてさがして」ーこういうメッセージ絵本を作れることがヨシタケさんのスゴいところだ


 世の中には「そうぞうりょくをつかうのがにがてなひと」がいる。という話からこの絵本は始まる。そういう人は平気で人に酷いことを言ったり、したりする。もしも、そういう人に会ったらすべきことは一つ!

にげること

  そして、探すのだ。「きみをまもってくれるひと」を、「きみをわかってくれるひと」を。世の中には優しい人もたくさんいること、逃げることで自分の居場所はもちろん気持ちの置き場所だって変えるられることをこの絵本は教えてくれる。

じぶんをかえるために うごいてもいいし、
じぶんをかえないために、うごいてもいい。

というフレーズがいい。逃げて探して動いて、素敵な誰かに出会って。

 

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【文学賞】2021年本屋大賞(第18回)は、町田そのこさん「52ヘルツのクジラたち」に決定!最終順位も発表されました

 

 発表になりました!2021年本屋大賞!!町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」です。パチパチパチ!これ、評判がいいのは知ってたのですが未読です。アマゾンの紹介文を引用してみます。

「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。

注目作家・町田そのこの初長編作品!

  児童虐待をテーマにした小説です。あ、初めての長編作品だったんだ。朝日新聞の「好書好日」でのインタビューがよかったです。

 

◯2位以下の順位は次の通りでした!

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!ヨシタケシンスケの新作「あきらがあけてあげるから」。酒井駒子、展覧会の図録「みみをすますように」も出る!!(2021.4/3週)

 

 さて、出る本。ヨシタケシンスケ の新作絵本「あきらがあけてあげるから」(4/15)出ます。PHP研究所から出ているヨシタケさんの四角い判型の絵本シリーズはみんなおもしろい。「わたしのわごむはわたさない」「おしっこちょっぴりもれたろう」「なつみはなんにでもなれる」、どれも傑作!おっ、全部ひらがなタイトルだ。で、どんな話か?アマゾンの紹介文から。

くやしい。ボクはくやしい。
ボクはチョコがたべたいんだけど、このふくろ、あけにくいんだよ。

ボクはまだちっちゃくてちからもよわいから、このふくろはあけられないんだ…。

でも、もうすこしおおきくなったら、ボクはきっとなんでもあけられるようになるとおもうんだ。
じぶんのぶんもみんなのぶんも、ぜーんぶあけてあげたい。
あきらがあけてあげるから!

どんなものでもあけられるって、なんだか楽しい!
夢が広がるヨシタケシンスケのユーモア絵本。

  ヨシタケワールドって紹介文を読んだ時と実際に読んだ後ではかなり印象が違う。なんだか想像以上に深いんだよなぁ。早く読んでみたいぞ。楽しみ!

◯ヨシタケシンスケ、その他の本の感想などはこちらから!

 

 出る本。酒井駒子「みみをすますように」(4/13)出ます。立川での展覧会が10日から始まりましたが、これは展覧会の図録でもあるようです。ううむ、欲しい。でも、高い。 

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【書評】坂元裕二「花束みたいな恋をした」ー2015年から5年間の出会いと別れの物語!ノベライズよりオリジナルシナリオが好き

【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!「BRUTUS」最新号は猫特集、「宣伝会議」は宣伝会議賞最終結果!松家仁之「泡」も出た!!(2021.4/2週)

 

 さて、出た雑誌。「BRUTUS」最新号は特集「猫になりたい」。ううむ、犬好きで猫好きでもある僕はこういうのすぐ買っちゃうなぁ。もう買っちゃった。長めですがアマゾンからその内容を。

猫特集「猫になりたい」。

明日もそばにいよう。

目次
小泉さんちの黒猫 小泉今日子
猫がいてよかった 松重豊、石橋静河、朝吹真理子、ほか
世界のにゃんこスター
私と猫 松本零士、徳井義実
集まって暮らす 安彦幸枝
猫と仕事場 若山曜子
猫たちよ! 彼奴等に捧げる言葉 保坂和志、千葉雅也、ほか
銀河鉄道の夜 ますむらひろし
ニュースな夜 岩井勇気
一緒に年をとろう 岩合光昭
路上観察学2021
特選猫グッズ
生き切った猫 横尾忠則、吉本ばなな、大島依提亜
教えて! 猫博士
猫の福利厚生 ウィルビーイング/猫ドッグ/保護猫/法律相談
猫、キュンじゃった

Book in Book
まんが 猫とのくらしあるある

特別付録
特製ふわもこシール
世界のスター猫、ますむらひろし『銀河鉄道の夜』、仕事猫…

 いやぁ、猫ってそれぞれ個性豊かでたまらない。ちなみに表紙は写真家・岩合光昭さん。モデル猫は岩合さんチの玉三郎。カッコいいっ!

 

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