フジモトマサルさんといえばコロナ・ブックスから出ている「フジモトマサルの仕事」という彼の仕事を通覧したすごくいい1冊がある。コロナ・ブックスは「とんぼの本」のようなビジュアルブックでムダなく充実した内容で素晴らしい。イラストの仕事やなぞなぞ、回文、装丁や挿画、さらには村上春樹、糸井重里、北村薫他のエッセイなどなどなど。豊崎由美さんによるロングインタビューが圧巻だ。で、こちら「フジモトマサル傑作集」はマンガの仕事の傑作集だ。エッセイやなぞなぞ、挿画なども少しは登場するけれど、基本的にはマンガ!
2013年に46歳で亡くなったフジモトさんは決して多作ではなかったので、全部収録とはいかないけれど多くのタイトルが収録されているのがうれしい。彼のマンガといえば動物が主人公でなんだか不思議な味わいがある。こういうことは普通は描かないだろうということが描かれているし、今いる場所とは全然違う場所に連れていってくれたりもする。その感じは分かるけど、それを言うのか、と思ったり。考えているうちになんだかやたらと恐ろしくなったり。
このように言葉で書いても、その世界は実際に読んでみないと分かりづらいかもしれない。興味を持った人はぜひ!どれも好きだけど個人的には単行本未収録の「アナグマ博士の睡眠研究所」が好き!
◆DATA 「フジモトマサル傑作集」(青幻舎)2700円(税別)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピーです)
フジモトマサルは私を
どこか知らない場所へと連れて行く。
◯「フジモトマサルの仕事」の感想はこちら
2021.3.24 緊急事態宣言明けだけど、コロナ、確実に全国で感染者数が増えて来ている。変異種の広がりも心配。読書はカズオ・イシグロ「クララとお日さま 」。