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【エッセイ/書評】角田光代「今日も一日きみを見てた」ー犬好きの角田さんの元に一匹の猫がやって来た。トトと名付けたそのアメショーが彼女の世界を変えていく!

 

 さて、今日はニャンニャンニャンで猫の日。猫の日に猫本紹介は嬉しいぞ。先日、角田さんの新刊「明日も一日きみを見てる」を紹介した時に、あれれ?シリーズ最初のこの本読んでない!と気づき、文庫を買って急いで読んでみた。いやぁ〜〜読んでよかった。あ、僕の猫ポジション?は「犬を飼ってるけど猫も好き」。猫本は絵本も含めてけっこう読んでます。

 角田さんは「犬が好きか猫が好きか」と訊かれたら「毎回、犬と答えてきた」人。そんな角田家に西原理恵子さんからもらったアメリカンショートヘアの女の子がやって来る。名前はトト !これは角田夫妻とトトとの交流を描いた猫エッセイの第1弾です。

 

 「猫、病院にいく」「猫、におわず」「猫、遠慮する」などほとんどの文章にこんなタイトルが付いていて楽しい。初めて猫を飼ったからこそ感じる様々なこと、驚いたり、呆れたり、心配したり、笑ったりを繰り返しながら次第次第にトトという猫に心を奪われていく角田さん。トトって少し猫の概念(みたいなものがあるのなら)から外れているところもあって、そこもまたおもしろい。


 で、一番伝えたいこと、それは最後の3つのエッセイがすげえ!!この3つはなんだか純文学みたいな趣がある。恋愛において「軽くみる」「みくびる」ということは大事なことなんじゃないかなあ、という川上弘美さんのエッセイの一節から始まる「猫を、みくびる」、猫と人間、互いをみくびることで初めて家族になる、ってなんだか深くてとても納得!角田さんの猫紀元前(BC=Before Cat)猫紀元後(AC=After Cat)という造語がおもしろい「猫、世界を変える」、ACになって自分の意識が大きく変わっていたことに気づく角田さん。「一匹の猫は、全世界の猫になるのだ」という一行の力強いこと!そしてラストの「猫がきた理由」、西原さんはなぜ角田さんに声をかけて「あげる」と言ったのか。その話がすごい。いやいやいやいや、すごい。そして、彼女は気づくのだ。私はトトに助けられ、逃げ場所を得たのだと。

 トトの写真もたくさん入っていて嬉しいが、単行本とは写真が少し違う。文庫だけボーナストラックとしてNHKの「ネコメンタリー」で紹介された「任務十八年」という短編小説が入っている。これもまたよし!       

◆DATA 角田光代「今日も一日きみを見てた」(角川文庫)

 

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)

 

 

 

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