ジョーダン・スコットとシドニー・スミス、このコンビニは「ぼくは川のように話す」という傑作がある。自ら吃音の障害を持つすスコットが実体験を元に書いた絵本だ。シドニー・スミスも感情の渦を見事に絵にしていて素晴らしい。
そんな2人のコラボ2冊目はスコットとその祖母の物語。背景を説明した「ぼくのババ」というラストの1文が心を打つ。祖母はポーランドで生まれ育ち、貧しく苦しい第二次世界大戦を経たあとカナダで移民となり、ニワトリ小屋を作り直した家で暮らしていた。ババというのはポーランド語で「おばあちゃん」のことらしい。
ここで描かれているのは幼い作者と祖母との交流の日々。毎朝、父が「ぼく」を祖母の家に送ってくれて彼女と1日を過ごす。いつもキッチンにいて鼻歌を歌いながら何かを作っているおばあちゃん。家には庭で採れた食べ物がいっぱい!ピクルスの瓶、吊るされたニンニク、ビートやトマト、ニンジン、リンゴ…。移民のおばあちゃんは英語を話さず、「ぼく」ともアイコンタクトとスキンシップで心を通わせている。
そして、ミミズのエピソード!雨の日にミミズを探して歩き回る2人。ミミズは庭の土を育ててくれる大切な生き物なのだ。そんな2人の思い出を時にフォトジェニックに時に絵画的に描かれたスミスの絵が支えている。後半、おばあちゃんは歳をとって、ぼくの家にやって来る。ずっと家で寝ているおばあちゃんとぼくとの変わらぬ交流を描く2つの見開きがせつない。ラストにもなんとも言えない哀感が漂う。
◆DATAジョーダン・スコット:文 シドニー・スミス:絵 「おばあちゃんのにわ」(偕成社)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)
料理をしながら、おばあちゃんは、
ずっと鼻歌をうたっている。
夜、外で鳴いている虫みたいに。
◯シドニー・スミスには「このまちのどこかに 」という傑作があります
2023.8.24 愛犬ひなたは来月で17歳になっちゃうのだ。読書は金原ひとみ「腹を空かせた勇者ども」。