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【書評】伊集院静「ノボさん」-正岡子規の青春の輝きを描いて感動的、漱石との強い友情も心に残る

 みなさん、遅まきながらあけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。思い切って、デザインも変えてみました。では、本年1冊めのレビューです。

 

 

 サブタイトルは「小説正岡子規と夏目漱石」。ノボさんこと正岡子規のことは昔から興味があったが関川夏央が書いて、このブログでも紹介した「子規、最後の八年」を読んで、さらに興味が深まった。そして、名手伊集院静の手になるこの一冊!副題の通り、2人の物語ではあるけれど、読後に残るのはやはり正岡子規という稀有な存在のことである。

 

 小説は明治二十年、ノボさん21歳の秋から始まる。彼が当時夢中だった「べーすぼーる」に興じる姿はまさに青年子規の象徴である。帝大の予備門に一発で合格した天才児。漱石はもちろんのこと一度会っただけで人を魅了してしまうその人間的魅力。前半で描かれるのは、まさに彼の青春の輝きだ。夏の勉強会と称して向島に長逗留する話は前半の白眉、強く印象に残る。

 

 後半では血を吐いて肺結核、さらにはカリエスになり動くこともままならない彼の姿がある。ここで描かれるのは、傑出した文学者としての子規の大きさ、そして、彼の存在が後に続く俳句の連峰、短歌の峰々、小説の峰を作り出したという事実である。もちろん、漱石との強い友情も心に残る。2人がこれほど心を通わせ、深いところで結ばれていたとは。彼をひたすら支え続けた母の八重と妹律の姿も感動的だ。

 

◯この本は2016年1月、講談社文庫で文庫化されました。

◯伊集院静のその他の本のレビューはこちら


◯関川夏央「子規、最後の八年」の書評はこちら

 

◯あ、前項で去年のベストワンブックを発表したので見てくださいね。       

 

 

2014.1.7 というわけで、昨日から仕事も再開しました。まぁボチボチやります。読書はジェフリー・ディーヴァー「シャドウ・ストーカー」。

 

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