最後に編者である平中悠一のライナーノーツと称した解説が付いている。なんだかやたらと難しい言い回しでちっともシティポップじゃないじゃん、と思ったりもするが、アンソロジーの中に含まれている彼自身の小説がやたらと軽薄で解説と比べて笑ってしまった。
僕はまずシティポップっていうのがよく分かってない。世界的に流行ってるらしい。『ニューミュージックの中でも特に都会的なスタイルと考えられていた音楽が、だいたい現代の「シティポップ」にあたるということになる』と書かれていて、大瀧詠一、山下達郎、大貫妙子などの名前が挙げられている。では、この「シティポップ短篇集」とは?「80年代日本の都会的な短篇小説のアンソロジー」「シティポップと同時代的な性格を持つ日本の短篇小説集」ということらしい。まぁ、そんなことはほぼどうでもいい。こうして、片岡義男や川西蘭や銀色夏生、沢野ひとし、原田宗典、山川健一、そして平中悠一のアンソロジーが読めるんだったら。片岡さんは2編、川西さんも2編入っている。編んでくれた平中さんにサンキュー!です。
で、全9編、ベストは川西蘭の「マイ・シュガー・ベイブ」だ。これはいいなぁ。主人公がラジオの仕事をしてる、っていうのがいい。ラジオ局から遠く離れた海辺の小さな家に女の子と一緒に住んでいるというのもいい。彼女の実家に彼の存在がバレてしまい仕送りを止められる。忙しくも貧しい日々!ハンバーガーショップ、海の家、天体望遠鏡…。そして、降って湧いたようなあるオファー!そこからの展開がむちゃくちゃいい。おすすめ!まぁ、他のもショートで気軽に読めるし、なんだか懐かしい感じもして読んでる間ちょっと幸せな気分にもなれる。このラインナップに惹かれた人はぜひぜひ! ◆DATA 平中悠一編「シティポップ短篇集」(田畑書店)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)
◯この本もちょっと気になる!!