また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

■あ行の作家

【書評】絲山秋子「神と黒蟹県」ー舞台は日本のどこにでもあるような地味県、黒蟹。この小説、神も人間もすこぶる愛おしい!

神と黒蟹県 posted with ヨメレバ 絲山 秋子 文藝春秋 2023年11月13日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す ううむ、これはすっごくおもしろい!物語の舞台になるのが日本のどこにでもあるような地味県である黒蟹県。架空…

【書評】安堂ホセ「ジャクソンひとり」ー軽快な文章を通して描かれるのは、まるで個など存在しないように扱われるブラックミックスのマグマのような怒りだ

ジャクソンひとり posted with ヨメレバ 安堂 ホセ 河出書房新社 2022年11月17日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 文藝賞受賞作で今回の芥川賞でもノミネートされた1冊。読み始めた時、これはL.A.かどこかの話かと思…

【書評】絲山秋子「まっとうな人生」ーいやいやいやいや、これは「くるまの娘」と争う今年のベスト候補。絲山秋子はすごいなぁ

まっとうな人生 posted with ヨメレバ 絲山 秋子 河出書房新社 2022年05月19日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す ううむ、いやいやこれはスゴい。宇佐見りん「くるまの娘」が今年の有力なベスト候補と思っていたのだけ…

【書評】朝井まかて「ボタニカ」ー日本植物学の父・牧野富太郎、いやいやいやこんなとんでもない人だったんだ!!

ボタニカ posted with ヨメレバ 朝井まかて 祥伝社 2022年01月13日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「牧野日本植物図鑑」は有名だし、その著者である牧野富太郎のことも知っていた。知っていたと言っても名前だけ。興…

【書評】宇佐見りん「くるまの娘」ーこれはもう年間マイベスト候補!父の暴力、母の病、バラバラになった家族が祖母危篤の報を受け車中泊の旅に出る

くるまの娘 posted with ヨメレバ 宇佐見 りん 河出書房新社 2022年05月12日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「かか」「推し、燃ゆ」に続く宇佐見りんの第3弾!「推し、燃ゆ」から入った人は最初はかなり戸惑いがあ…

【書評】一穂ミチ「スモールワールズ」ー直木賞候補にもなった短編集。いやいやいや、一穂ミチ、恐ろしいぞ!!

スモールワールズ posted with ヨメレバ 一穂 ミチ 講談社 2021年04月22日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す かなり話題だったけどなかなか読めないでいた一穂ミチの短編集、やっと読んだ。一穂さんはBL(ボーイズラブ…

【書評】伊集院静「ミチクサ先生」上・下ー漱石の小説は知っていてもその人生をちゃんと知ってる人は少ないかもしれない。そんな人におすすめの1冊!

ミチクサ先生 上 posted with ヨメレバ 伊集院 静 講談社 2021年11月17日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す ミチクサ先生 下 posted with ヨメレバ 伊集院 静 講談社 2021年11月17日頃 売り上げランキング : 楽天ブック…

【書評】朝井リョウ「正欲」ー多様性、ってどのくらい多様性なんだろう?時代に突きつけられた大きなテーマを持った傑作!

正欲 posted with ヨメレバ 朝井 リョウ 新潮社 2021年03月26日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す 楽天koboで探す Amazonで探す Kindleで探す まず挑戦的なタイトルがすごい。朝井リョウは前々作「死にがいを求めて生きているの」、そして前作「ス…

【書評】宇佐見りん「かか」-独特の語り口で読む者をのみ込んでいく狂気の中にいる母とその娘の物語。文藝賞・三島由紀夫賞受賞作品!

かか posted with ヨメレバ 宇佐見 りん 河出書房新社 2019年11月15日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す 楽天koboで探す Amazonで探す Kindleで探す 最初から度肝を抜かれる。主人公であるうーちゃんが湯船で見つけた金魚の赤のイメージ。なんだか…

【書評】宇佐美まこと「夜の声を聴く」ー「よろず相談承ります」の看板をあげるリサイクル店「月世界」、そこには誰も知らない大きな秘密があった

夜の声を聴く posted with ヨメレバ 宇佐美まこと 朝日新聞出版 2020年09月07日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す 楽天koboで探す Amazonで探す Kindleで探す 宇佐美まことは「展望台のラプンツェル」「ボニン浄土」を読んで興味を持った。という…

【書評】阿部暁子「パラ・スター〈Side 宝良〉」ー世界のトップが集まるジャパンオープン、復活を掛けた宝良の戦いがついに始まる!

パラ・スター <Side 宝良> posted with ヨメレバ 阿部 暁子 集英社 2020年03月19日 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す 楽天koboで探す Amazonで探す Kindleで探す 少し前に紹介した2冊シリーズの「パラ・スター」。〈Side百花〉に続く後編〈Side …

【書評】阿部暁子「パラ・スター〈Side 百花〉」ー高校時代に障害を負った親友。百花は車いすテニスを始めた彼女のために最高の車いすを作りたいと思った

パラ・スター <Side 百花> posted with ヨメレバ 阿部 暁子 集英社 2020年02月20日 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す 楽天koboで探す Amazonで探す Kindleで探す 「本の雑誌」の2020上半期ベストと2020文庫ベストテンで共に1位に輝いた注目作。〈…

【書評】朝井リョウ「スター」-学生時代に映像賞を取った2人。1人は有名監督の元へ、もう1人はYouTuberに。さて彼らの未来は?

スター posted with ヨメレバ 朝井リョウ 朝日新聞出版 2020年10月07日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 朝日新聞の金曜夕刊に連載されていた新聞小説。「スター」というタイトルから芸能界の話と思う人がいるかもしれ…

【書評】宇佐見りん「推し、燃ゆ」-推しがファンを殴った!怒涛のような物語はそこから始まる。彼女が最後にたどり着くのは?

推し、燃ゆ posted with ヨメレバ 宇佐見 りん 河出書房新社 2020年09月11日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す ここには「推し」という行為のすべてがある。「かか」で文藝賞、さらには三島由紀夫賞を受賞した宇佐見り…

【書評】上橋菜穂子「鹿の王 水底の橋」-医療とは?命とは?生とは何か?を問う「鹿の王」のその先の物語!

鹿の王 水底の橋 上橋 菜穂子 KADOKAWA 2020年06月12日 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す by ヨメレバ 本屋大賞と医療小説大賞を受賞した「鹿の王」のその先の物語。こちらもまたまたおもしろい。文庫になってから読んだ…

【書評】宇佐美まこと「ボニン浄土」-物語は江戸時代、ある島に流れ着いた一艘の船から始まる。そして、話は現代へ!

前作「展望塔のラプンツェル」がよかったので手に取った。タイトルから謎…。天保11年(1840年)、九十九里浜沖で暴風雨にあった気仙沼の五百石船の漂流譚から物語は始まる。船は流され続け、ある島にたどり着く。そこがボニン・アイランド!途中からこの船に…

【書評】池澤夏樹「花を運ぶ妹」-バリ島での兄の危機にパリで生きてきた妹が急ぎ駆けつけた、そこで彼女が出会ったものは?

池澤夏樹といえば最近は労作である個人編集の「世界文学全集」「日本文学全集」がすぐに思い浮かぶが、小説家としての彼も忘れてはならない。8月1日から朝日新聞の連載小説「また会う日まで」もスタートする。このブログでは紹介する機会がなかったけれど…

【書評】宇佐美まこと「展望塔のラプンツェル」-残り20数ページ、驚きの展開に誰もがページを繰る手を止めるだろう

Amazonで探す 楽天ブックスで探す 後半、何度か本を閉じた。主人公たちにこれ以上災いが降りかからないようにと願うのだが、残念なことに物語はその方向にグングンと進んでいってしまうのだ。救いのない物語…ところが残り20ページ強で「アッ!」「エッ?」と…

【書評】恩田陸「祝祭と予感」-直木賞と本屋大賞をダブル受賞した「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編集、見事!!

Amazonで探す 楽天ブックスで探す 直木賞と本屋大賞をダブル受賞した「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編小説集。昨秋、映画公開と同時に発売されたのだが積ん読になっていた。う〜ん、これはもっと早く読んでおくべきだったなぁ。全6編だが最初の「祝祭と掃苔…

【書評】絲山秋子「御社のチャラ男」-いやいやこれはただのチャラ男小説ではないぞ!

御社のチャラ男 posted with ヨメレバ 絲山 秋子 講談社 2020年01月23日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す いやいやいや、これはメチャクチャおもしろい。目次を見ただけでそれは分かっちゃう。こんな感じだ。 当社のチ…

【書評】絲山秋子「小松とうさちゃん」-どんな人生にも陰影があり、悲愁がある。いいなぁこれ!

小松とうさちゃん posted with ヨメレバ 絲山 秋子 河出書房新社 2019年12月06日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 絲山さんの小説は好きでたいがいは単行本で読むのだけど、ちょっとタイトルで躊躇してしまって文庫に…

【書評】小野不由美「白銀の墟 玄の月」-王・驍宗は見つかるのか?十二国記、圧巻の全4巻!

小野不由美「白銀の墟 玄の月」第1巻 さてさてさて、小野不由美の「十二国記」の新作、18年ぶりの書きろし、ってすごくない?文庫だけれど全4巻の大長編だ。タイトルは読めない人も多いと思うが「白銀の墟 玄の月(しろがねのおか くろのつき)」。ようや…

【書評】朝井リョウ「どうしても生きてる」-ここで描かれているのは今の時代のどうしようもない生きづらさだ

Amazonで探す 楽天ブックスで探す 6つの物語からなる短編集。コンセプトがハッキリしていてかなり中身が濃い。どれも今を生きている人々の心にストレートに届く物語だ。朝井リョウはデビュー作からずっと読んでいるが前作「死にがいを求めて生きている」前…

【書評】朝井リョウ「死にがいを求めて生きているの」-生き難い時代をもがきながら生きていく魂を描いた傑作小説

死にがいを求めて生きているの posted with ヨメレバ 朝井 リョウ 中央公論新社 2019年03月08日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探 今年のマイベストに間違いなく入ってくるであろう傑作小説。一応、中央公論新社の文芸誌「小説BOC」の「対立」を…

【書評】絲山秋子「夢も見ずに眠った。」-妻の単身赴任、夫の鬱、そして離婚。その後も2人は旅で出会う

夢も見ずに眠った。 posted with ヨメレバ 絲山 秋子 河出書房新社 2019年01月29日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す この物語はおもしろいなぁ。おもしろいのだけど感想を書く段になるとその魅力を説明するのがなかなか難しい。ううむ。 これ…

【書評】糸井重里/古賀史健「古賀史健がまとめた糸井重里のこと。」-糸井重里という人間に興味がある人ならぜひ!

古賀史健がまとめた糸井重里のこと。 (ほぼ日文庫) posted with ヨメレバ 糸井重里,古賀史健 ほぼ日 2018-06-06 Amazonで探す 楽天ブックスで探す まず薄いことに驚いた。こんなに薄いのか!「あとがきにかえて」という糸井さんの文章の中にこのインタビュー…

【書評】浅生鴨「猫たちの色メガネ」-27の奇妙な味のショートストーリー、さてどれが好き??

猫たちの色メガネ posted with ヨメレバ 浅生 鴨 KADOKAWA 2017-09-29 Amazon Kindle 楽天ブックス 作者はNHKのツイッターアカウント@NHK_PRの中の人1号として有名になった浅生鴨さん。今は主に執筆活動に注力している、と紹介にある。「猫たちの色メガネ…

【映像化】朝井まかて原作のドラマ「眩(くらら)」明日18日夜放送!主演は宮崎あおい

眩 posted with ヨメレバ 朝井 まかて 新潮社 2016-03-22 Amazon Kindle 楽天ブックス すでにこのブログに書きましたが、朝井まかての同名小説が原作のドラマ「眩(くらら)〜北斎の娘〜」が明日夜NHK総合で放送されます。詳しくは以前のブログを読んで欲し…

【書評】大崎善生「聖の青春」-ここには村山聖という稀代の棋士の生と死が丸ごと描かれている

聖の青春 posted with ヨメレバ 大崎善生 講談社 2002年05月15日 楽天ブックスで探す Amazonで探す このノンフィクションの中盤にこんな一文がある。 純粋さの塊のような生きかたとありあまる将棋への情熱。それにかける集中力と桁外れの努力。勝利へのあく…

【書評】いとうみく「カーネーション」-互いを愛せない母と娘、これは予定調和で終わらない親子の物語

Amazonで探す 楽天ブックスで探す 表紙の絵が酒井駒子さんだったのでちょっとアマゾンを調べてみたら、児童文学作家の安東みきえさんが「家族を描くならここまで書きなさい…と、いとうみくにガツンとしかられた気がする」というコメントを寄せていて、読んで…